第3話 「戦争捕虜」 PRISONER OF WAR!

US版第3話 スパークプラグをその手中に収めたデストロン軍団は切り立った山中に作られた基地へと帰還する。 さして手柄を自慢するでもなかったスタースクリームだが、その口から出る「偉大なるメガトロン様」という言葉には皮肉の色がまぶしてあった。 真にリーダーの座に相応しいのは自分であると示すのが狙いであろう。 無論、メガトロンとしても利用価値が無くなり次第彼を始末する腹づもりである。
 捕われの身となったスパークプラグは、地球の燃料をトランスフォーマー用の燃料に変換するよう要求される。 原子力発電所の設備を手に入れながらそれを要塞の建築資材としてしか使っていない彼等が、地球人の「原始的な」技術を扱えないのだと見抜いたスパークプラグは、かつて朝鮮戦争で捕虜になった古い経験を思い出していた・・・。

 一方、スパークプラグを奪われたサイバトロン達は、深刻な燃料不足に陥っていた。 コンボイはスパークプラグを救えなかった事をバスターに謝るが、バスターの心配はサイバトロン達が父を無事取り戻す事が出来る状態にあるかだった。 コンボイは補給のため一旦アークへ帰還する事を決め、それを終えたら必ずスパークプラグを助け出すと約束、バスターも父を救うため、彼等に付いてアークへ向かう事を決める。 友人達の心配を後にサイバトロンとともに行くバスター、ジェシーはそこに、彼の今まで気付かなかった勇敢さを感じていた。
 アークへ戻ると、今まで船体の修復にあたっていたラチェットが出迎えた。 彼は、コンピューターのメモリーバンクの中に発見した情報をコンボイに報告しようとするが、コンボイはそれを遮り、アークに残っている燃料をクリフ、ゴング、サンストリーカー、チャージャー、ハウンド、ギアーズ、そして自分に補給するように命じる、スパークプラグ救出のためのメンバーである。 バスターはアークの巨大さに目を見張る。

 その頃、デストロン基地では、コンドルによる脅迫にスパークプラグがついに屈し、ガソリンをトランスフォーマー用の燃料に変換する方法を考案する事を承諾してしまっていた。 メガトロンはスパークプラグが変換に必要なものとして要求した燃料のサンプルをランブルに提供させ、さらに資材や原料を部下達に強奪させる。 オレゴン大学のキャンパスからは化学施設がサウンドウェーブによってごっそり持ち去られ、また別の場所ではスタースクリームとランブルによってタンクローリーがまるまる一台奪われていった。
 この事態が各機関によって見過ごされる筈も無かった。 米ソ両政府は互いを疑り合い、アメリカのスーパースパイ組織、S.H.I.E.l.D.司令部のニコラスにも報告が入る。 一方で、ニューヨークのデイリービューグル誌の新編集長、ジョー・ロバートソンは、スパイダーマンの正体でもあるピーター・パーカーならその能力を使い、何か特ダネを撮ってきてくれるだろうと見込み、彼を現地へ手配する。

 デストロンの基地は今や軍と報道機関に取り囲まれていた。 その中にはビューグル誌のピーター・パーカーの姿もあった。 彼は考えるだけで装着されるという黒いコスチュームに身を包むと、スパイダーマンとして要塞への潜入を開始した。

 基地の内部ではサウンドウェーブが外からの信号を受信していた。 話し合いを試みる軍からの通信だったが、無論メガトロンには用の無いものである。 彼はスタースクリームに外の邪魔者の相手をするよう命じる。 スタースクリーム、サンダークラッカー、スカイワープ、そしてバズソーに対するアメリカ軍、しかし、戦いは圧倒的にデストロンの優位であった。
 そんな中、基地へと近付くスパイダーマンは、4WDが変形してロボットになるのを目撃する。 先行して偵察に来たサイバトロン戦士のギアーズである。 各地で暴れているロボットの仲間だと見たスパイダーマンは、ロボットの肩へ飛び乗り、その意を質そうとする。 ギアーズは自分が人間の味方だと説明しようとするが、その時、サンダークラッカーが放り投げた戦車が、ギアーズとスパイダーマンを映すのに夢中な報道陣の上に振ってこようとしていた。 空中で戦車を受け止めてゆっくり地上に下ろすギアーズ。 その姿を見て納得したスパイダーマンに対し、ギアーズは事情を話す、人間が一人、要塞の内部に捕まっている事も。

 残りのサイバトロン戦士達も到着すると、コンボイはスパイダーマンに、軍にサイバトロンを通すよう説得する事を頼むが、スパイダーマンは、軍がそれを受け入れるかどうか懐疑的だった(当時、スパイダーマンが悪の一味であるとの噂もあった)。 結局、兵士に変装したスパイダーマンとハウンドが変形したジープを先頭に、堂々と乗り込む事になる。 後に続く車に当然疑問の目が向けられたが、デストロンに押されて後退中だった軍に、彼等を止める者はいなかった。 しかし、前線を抜けたサイバトロン戦士達がロボットモードにトランスフォームしてデストロンに立ち向かおうとすると、今度は背後から、彼等を基地にいるのと同じロボットの仲間であると誤解した軍が発砲してくる。 人間を相手に反撃出来ないサイバトロンはデストロンとの「挟み撃ち」に苦戦を強いられる。

 一方、ギアーズは、スパイダーマンとともにスパークプラグ救出のため、裏口から要塞への潜入を図る。 その頃、内部では、スパークプラグがいよいよ燃料の変換方法を完成させていた。 潜入に成功したギアーズとスパイダーマンは、先の戦闘で負傷したランブルとそれを運ぶフレンジー、さらには、ジャガー、サウンドウェーブまでも見事な連携で打ち倒し、ついにはメガトロンと、捕われたスパークプラグのいる部屋へ辿り着く。 スパイダーマンが得意のクモ糸でメガトロンの動きを封じる間、ギアーズがスパークプラグを救出しようとするが、相手はメガトロン、そう長くはもたなかった。 糸を断ち切ったメガトロンは、もはや人間の助けは不要とギアーズの足元へカノン砲を放つ。 開いた穴からまっ逆さまに地上へ落下していくギアーズとスパークプラグ、後を追って穴から飛び出したスパイダーマンがクモ糸で二人を助けようとするが、ギアーズへ伸ばした糸は、その重みに耐えきれず切れてしまう。 スパークプラグはスパイダーマンによって何とか救助されたものの、地面に激突したギアーズは破壊を免れなかった。 サイバトロン達はそのボディパーツを回収し、アークへと帰還する。

 アークに戻り、父と息子はようやく再会を果たした。 スパイダーマンはギアーズの「戦死」に対して悔みの言葉を述べるが、彼等とサイバトロンでは生死の概念が異なっていた。 今のギアーズは「生きている」とは呼べないが、人間の言う「死んでいる」という状態でもないのだと説明するコンボイ。 そして、スパイダーマンは、サイバトロン、そしてウィトウィッキー父子と互いに激励と感謝の言葉をかけ合い、アークを去っていく。

 だが、ラチェットによって最低活動レベルまで修理されたギアーズの口から出た、「メガトロンは・・・欲しい物を手に入れた・・・」との言葉がその場の空気を一変させた。 スパークプラグが燃料の変換方法をデストロンに渡してしまったというのだ。 バスターが問う、「パパ、違うって言ってよ!」

(続く)


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