第1話 「トランスフォーマー登場!」 THE TRANSFORMERS
遠い昔、アルファ・ケンタウリの周囲を回る惑星、セイバートロン星があった。 土星ほどの大きさで地表から中心まで全てが金属と機械で出来た世界、その起源は遥かな過去に失われたという。 その星に生まれた生物もまた、機械と金属から生まれた超ロボット生命体であった。 彼等「サイバトロン」は都市を築き、平和と繁栄を謳歌していた。
しかし、やがて「デストロン」を名乗る一団とその首領メガトロンが出現。 彼等は密かに開発した技術で自らを兵器に変形させる能力を身に付け、サイバトロンへの総攻撃を開始する。 戦いは惑星全土に広がり、ついにはその影響でセイバートロン星そのものが本来の軌道を外れ、宇宙へ漂い出す事となってしまった。
それでもなお戦いは続いた。 生き残ったサイバトロン達はもはや無力ではなく、乗り物への変形能力を得、上空から襲いかかるデストロンの航空機達に立ち向かっていった。
やがて、二つの軍団は「トランスフォーマー」としてその名を知られる事となる。
サイバトロンの奮戦空しく、デストロン軍団は戦いを優位に進めていた。 そのデストロン軍団を率いるメガトロンは、セイバートロン星を巨大戦艦へと改造し、やがては宇宙征服に乗り出す野望を抱く野心家であり、その融合カノン砲のパワーの前に多くのサイバトロンの要塞が瓦礫と化していた。
一方、サイバトロンにもリーダーが登場していた、その名はコンボイ。 彼は賢く、強く、散り散りになったサイバトロン戦士達をまとめあげては精鋭部隊を作り上げ、戦闘ビークルにトランスフォームしてはその火力でデストロンに立ち向かった。 コンボイの指揮の元、サイバトロンは体勢を立て直し、そのため、戦いは千年以上にも渡って続く事となった。
ある時、セイバートロン星の進路がある小惑星帯とぶつかる事が分かった。 サイバトロンの長老達は会議を召集、その危機をコンボイへ伝える。 コンボイはセイバートロン星を守る為に、特別編成された部隊を率いて宇宙へ向かう事を決意。 そしてサイバトロン戦士達は宇宙船「アーク」を建造、小惑星帯へと飛び立ち、セイバートロン星が安全に通り抜けられる通路を開く事に成功するのだった。
だが、ジャガーの報告でサイバトロン達の動きを知ったメガトロンは、密かにその後を追跡、小惑星破壊のためにサイバトロンがエネルギーを使い果たしたところを見計らって奇襲攻撃をかける。 手付かずのデストロン軍団の前にサイバトロンは劣勢に立たされ、ついにアークの内部にまでデストロンが侵入してくる。 この事態を予期していたコンボイは、最後の手段として小惑星帯の近くの第三惑星にアークの進路を変更、デストロン達を道連れに死を選ぶのであった・・・。
アークが墜落したのはある休火山であった。 それから400万年の時が流れたある日、その火山が噴火すると巨大な宇宙船が姿を現す事となる。 外の世界では今やこの星を支配する生物がこの惑星を「地球」と、この山を「セントヒラリー」と名付け、暦を「1984年」と刻んでいた。 やがて、火山爆発の衝撃によって目覚めた機械が宇宙船の内部で活動を始め、一機のセンサードローンを外部に送り出した。 ドローンのデータバンクには機械生命体の情報しかなかったため、それはこの星の多くの有機生命体には気付かず、ジェット機や自動車、テープレコーダーなどを生物として認識し、アークへと伝える。 アークはプログラムに従い、中にいた者達ののボディーを外部の生命体に合わせた姿へ変形出来るように改造した。 だが、400万年前のダメージで、敵味方のデータは失われていたため、サイバトロンもデストロンも同様に復活の処置が施される事となってしまった。
復活したデストロン軍団は直ちにアークを離れた。 メガトロンはアークから与えられたデータによってこの星に豊かなエネルギー資源が眠っている事を知り、それらを使ってサイバトロンを倒す事を目論んでいた。
甦ったサイバトロン戦士達は全員の無事を確認すると、デストロンに対抗すべく、惑星の情報収集にとりかかった。 400万年前、生物のいないと思われたこの星は、いまや多くの「機械生命体」に満ちていた。 コンボイは自らの下した決断のため、デストロンがこの星の住人達を脅かす事になると考え、そして、デストロンの手からこの惑星と住人達を守る事を自分達の使命として決意する。
その頃、オレゴン州のとある町にある車の修理工場では、図書館から帰って来た少年、バスター・ウィトウィッキーが父親に呼ばれていた。 本にばかりに没頭する息子の将来を心配し、何か職になる事、出来れば自分の跡を継いで欲しいと願う父、スパークプラグと、父親を気遣いつつも、文学部に通うための奨学金が欲しいその息子、バスター。 仕事の残っていたスパークプラグはようやく息子を解放し、バスターは友人達と遊びに出かける。
その近くでは、サイバトロンが調査チームを出動させていた。 プロール以下、ハウンド、クリフ、ゴング、それにバンブルである。 彼等が最初に見つけた「地球人」はドライブイン形式の映画館に集まった自動車達であった。 「彼等」のしている行為が理解出来なかったサイバトロン達であったが、まずはその「地球人」達にコンタクトを取ろうとする。
その様子を上空から伺う者がいた、デストロンの空中攻撃兵コンドルである。 彼は直ちにメガトロンに連絡、メガトロンはサイバトロンと地球人が手を結ぶ事を阻止すべく、、部下達にサイバトロンの破壊を命じる。
一方、料金も払わずにドライブインに進入したサイバトロンの中ではバンブルが「地球人」との最初の接触を試みるべく、自動車の列へと近付いていた。 その列の車の中ではバスターがガールフレンドのジェシー、友人のオーとともに映画を楽しんでいた。(もっともバスターとジェシーのお楽しみは映画ではなかったのだが) だが、突如として彼等の乗る車は後ろから追突されてしまう。 車から降りて、追突してきたフォルクスワーゲンの運転手の安否を問おうとするバスターだったが、その中には誰も乗っていない、訝るバスター。
だがそこへ、突如として襲いかかるジェット編隊の攻撃! バスターはその時、そのワーゲンが悲鳴をあげるのを聞いてしまう。 逃げるよう叫ぶジェシーとオーであったが、バスターはその場に留まり、それが何なのか確かめる事を決意する。
その一方、ジェット編隊、すなわちデストロンの攻撃を目にしたサイバトロン達は何故周りの「地球人」達が身を守る事すらしないのかと不思議に思う。 プロールは極力戦闘を避けるようにとのコンボイの命令を守るつもりでいたが、選択の余地は残されていなかった。 ロボットモードに変形し、デストロンに立ち向かうサイバトロン戦士達。 戦いは続いたが、プロールはそこで、多くの奇妙な形の物体が動いている様を見て、ある結論に達する、周りにある車は生きた存在ではなく、その小さな非機械生命体が動かしていたのだと。 プロールはこの事をコンボイに報告するべく、全員にアークへの帰還を命じる。 ハウンドは姿を消したままのバンブルの事を心配するが、プロールの決定には周囲の非機械生命体の安全への配慮もあった。
そのバンブル、つまりバスターの車に追突したフォルクスワーゲンは傷付き、燃料を流出させていた。 バスターは父なら何とか出来るのではないかと考え、父のガレージに運ぶべくワーゲンに乗り込む。 内部にはキーもペダルも無かったが、それはまるでバスターの考えが伝わったかのようにひとりでに走り始めた。
その夜、ガレージからの物音に気付いたスパークプラグは、そこで傷付いたワーゲンをジャッキで持ち上げるバスターの姿を発見する。 ようやく息子が自分の跡を継ぐ気になったかと喜ぶスパークプラグであったが、バスターにそれを否定し、しかもそのワーゲンが車ではないのだと言う。 本気にしないスパークプラグだったが、その時ワーゲンから声がもれてきた。
「助けて、お願い・・・オイラ、死んじゃうよぉ!」
|
|