GENERATION 1 登場人物紹介
現在のところ、地球人サイドのみ。今後とも増える予定です。
■地球人 EARTHLINGS
スパイク・ウィトウィッキー
SPIKE WITWICKYトランスフォーマーと最初に関わる事となった地球人の一人。3年前のアークIIの墜落事故で、父スパークプラグを亡くしている。現在は父と同じメカニックとして働いている。カーリーと結婚、息子ダニエルがいる。
ダニエル・ウィトウィッキー
DANIEL WITWICKYスパイクの一人息子。
ロバート・ハロー将軍
GENERAL ROBERT HALLOアメリカ軍戦争技術開発部門の主任。再生されたトランスフォーマーを利用したテロに対抗するためとして、スパイクに接触するが……。
ラザラス
LAZARUS謎の武器商人。北極海に沈んだトランスフォーマーをサルベージし、コントロール装置を組み込んで、かつてない強力な軍団を作り上げる。
ラリー
LARRY国防省に勤める老人。ペンタゴンに呼び出されたスパイクに対し、注意するよう警告する。その真意は……?
GENERATION1の世界でキーワードとなっているのが、1999年のアークII墜落事件。
劇中でスパイクの読んでいた新聞から、その概要を追ってみましょう。
2002年3月3日 タイムズ
99年のアークIIの悲劇を振り返る
〜何が起こったのか?〜クリス・キラア(Chris Killah)による特別検証リポート
1999年6月24日。その日、空は爆発に包まれた。我々の夢は燃えた大量の金属とともに雨のように落ち、新たな時代への逞しい想像力は、一瞬のうちに打ち砕かれてしまった。アークIIの事故が起こった日の事である。アークII爆発の悲劇からもう3年が経とうとしているが、それはまだ昨日の事のように思い返される。6月24日、自分たちが何処にいて、何を感じたのか、詳しく話す事の出来る人はまだ世界中にいる事だろう。ブースタージェットが上昇を始めた時の満足感と興奮。喜びの感動は僅か数分後、苦渋に満ちた無力感と悲嘆の念に叩きのめされた。そして、全人類の念願が星のように消え失せてしまったのだ。丁度そんな所だろう。
無論、「丁度そんな所」で起きる事など無い。全ての物事には説明があり、理由がつくものである。よって、アークIIの悲劇にも説明がなされねばならない。この記事では事件に至る数ヶ月の壮大な物語を振り返るだけでなく、何が悲劇を引き起こしたのか、可能性のある説を検証していこう。
1999年6月24日は、確かに人類史上に残る暗黒の日であった。しかし、悲劇に至るまでの数週間、人類は実にその最高の日々を過ごして来たのである。
何年もの間、サイバトロンとデストロンの板挟みにあい続けて来た世界各国の政府は、これ以上何もせずにはいない事を決定した。1998年3月4日、各国の指導者達は、巨大なエイリアンのロボットが我々の運命を決していくのを、これ以上座して見ている訳にはいかないと、サミットに結集したのだ。各国指導者は満場一致で、解放作戦(Operation Liberation)の開始を承認した。この作戦は全ての大国に、軍備とデストロンに対する一体化した攻撃を命じるものであった。エイリアンの内戦を終わらせよう、我々の指導者達は誓った、どれほど犠牲を払おうとも。
犠牲は膨大だった。サイバトロンの指導者コンボイに率いられ、戦場に赴いた人間の死傷者は溢れんばかりだった。デストロン達は心の奥底から凶暴であるという事が判った。メガトロンとその軍勢は、我々のこの地球から吸い出し、変換したエネルギー(「エネルゴンと呼ばれる独特の物質)で補給された超大型のレーザーキャノンでレーザーの炎を撃ち放ち、それは地球の核までも揺るがした。この破滅的な戦いを目撃した者の多くが、壮大かつ恐ろしいものであったと語っている。ある目撃者はこう証言する、「まるで宇宙の全ての星が、全く突然に地球に落ちてくると決めたみたいだった」。
数日の間、解放作戦はひどい失敗に終わるものと思われていた。人間の死傷者は増大し、サイバトロンの攻撃は、デストロンの司令部を突破出来ずにいた、メガトロンはこの猛攻を乗り切るものと思われた。戦況を変えたのは、純然たる英雄的行為だった。カナダ人のパイロット、ルーディ・“レッド”・キングスリーの戦闘機が、警告も認可もないまま、デストロン司令部の中枢に突っ込んだのだ。爆発はデストロン達を混乱させ、サイバトロンを先頭にした軍団が要塞に突入するだけの隙を与えた。キングスリーの英雄的行為は重大なものだった。予想だにしない自己犠牲行為により混乱し、損傷を負ったデストロン達は敗れ、捕えられた。長きに渡って人類を人質に取り続けてきたセイバートロンの内戦は、ついに終わりを迎えたのである。
デストロンの脅威がようやく取り除かれると、コンボイとサイバトロン達は、自分達の故郷の惑星、セイバートロンへと帰還する事を決めた。再び世界各国の政府の協力により、巨大な宇宙船が建造された、それがアークIIである。彼等を地球へと運んで来たオリジナルの宇宙船の名を取ってつけられたものだ。アークIIは工学上の驚異ともいうべきもので、サイバトロンと、捕えられたデストロンの全員を乗せられるだけの巨大さを誇った。この船は、まさに、人類が一体となって働いた時にどれほどの物が出来るかという明確な実例だったのである。
我々の協力に対する見返りとして、サイバトロンは小人数の人間の乗組員をセイバートロンに招待する事を申し出てきた。この申し出は、そのスケールの壮大さと同じくらい魅力的なものであった。サイバトロンは人間の乗組員に対し、セイバートロン星の探索と、目的に適う思われるものに対する調査の完全な自由を保証した。乗組員達は必要ならばいくらでも滞在してよく、また、人類の進歩にとって有用であると思われた発見物は何であれ持ち帰る事を許された。申し出を受け入れ、乗組員達が編成されるまで、長くはかからなかった。
何百という人々が面接を受け、そのうちの7人が選抜された。ニューヨークの機械技術者マーク・マーシュ(39)、東京の生物学者アキラ・ヨシムラ(42)、ベルリンの化学者ラルフ・メイヤー(29)、ニューヨークからもう一人、社会学者のリンダ・リチャーズ(33)、モスクワの建築家ルドルフ・ベサイク(62)、オックスフォード大学の宗教学教授ヘンリー・ランソン(34)、そして、クリーブランドの機械工“スパークプラグ”・ウィトウィッキーである。かねてからサイバトロンと交際のあった彼は、ロボットと乗組員との橋渡し役として最適の人物であった。
偉大なる七人、すぐにもそう呼ばれる事となった彼等は、新たな時代の夜明けを象徴するものであった。彼等が持ち帰るであろう発見は、活用され、21世紀へと人類を飛躍させるものと思われていた。しかし、世界中がすぐに知ったように、その飛躍は補修中の脇道へと逸れてしまったのだ。1999年6月24日の事である。
爆発の原因として公表されたものは「機械的な故障」であるが、それがどういうものであるのかは未だ明かされていない。宇宙船にかかる重量がエンジンの限界を越え、空中でのメルトダウンを引き起こしたのだろうと言う理論家もいる。あるいは、合衆国軍事開発部門首席にして乗組員の選抜委員でもあったロバート・ハロー将軍のように、宇宙船の燃料庫の一つが厳重にロックされておらず、漏れた燃料が、宇宙船が大気圏外部に突入した時に発火したのだろうとする者もいる。確かな事は誰にも分からない。宇宙船は爆発によって完全に破壊され、僅かな破片のみしか見つかっていないのだ。宇宙船の残骸の多くは北極海の海底に沈んだと予想されているが、今日に至るまで、その発見は少なく、また疎らである。
爆発は残酷な自然の仕業なのか?どれほど計画を練っても防ぎようのなかった、理由無き事故の一つだったのか?それとも、建造上のミスによって引き起こされた悲劇なのだろうか?だとすれば、誰もその責任を問われていないのは何故なのか?我々はこういった疑問を著名な国際宇宙―
(52ページに続く)