THE WAR WITHIN
第1話

WRITTEN BY SIMON FURMAN
PENCILS BY DON FIGUEROA
INKS BY ELAINE TO & DON FIGUEROA
COLORS BY ROB RUFFOLO

翻訳・脚色 Dr.シグマ

さて、今日のトランスフォーマーは、あのコンボイ司令官が、どうしてサイバトロンのリーダーとなったかという秘話である。
サイバトロンの前司令官、センチネルコンボイが死んだ…。
セイバートロンの中央首都アイアコーン。
この最高議会の建物の地下で、一人の青年が働いていた。

ストリーク(BLUESTREAK)「みんなの話では、メガトロンは自分の手で、司令官の胴体の残骸からスパーク核を切り裂いたらしい。さらには、時間をかけて、ダイオードも一度に潰していったそうだ。それに…」
オプトロミクス(OPTROMIX)「随分と多くの話が流れているんだな。こちらも忙しいんだ、ストリーク。63ものデータフィードをインプットする作業が残っているし、それも5ブリーム(※1)のパルスで増え続けているからね。もし、目撃報告を全て信じるのなら、メガトロンは一人で16もの州を破壊し、30もの上級守衛を殺してきた事になる。全部、君がセンチネルコンボイの事について僕に知らせに来る間に起こった事だ」
ストリーク「でも、メガトロンは…」
オプトロミクス「いずれにしても、既に僕が聞き、記録し、反復したものだ、君が入って来る前にな。さあ、もういいだろう」
ストリーク「正確な情報があんたにとっての全てなのか? 外では俺達の仲間が死んでいっているんだぜ…。 ちょっと前までは、みんなが仲良く暮らしていた、ところがある日突然、デストロンが全面戦争をしかけてきやがった。俺達が存在さえ知らなかった悪党の集団だ。その日から俺は商売を追われ、サイバトロンの戦士になってしまったんだ」

ストリークとオプトロミクス
ストリーク「本当のところ、俺達は戦いの何を知ってるというんだろう? そんなものは俺達の本能に無いのに…。 ここにいる事はいいだろうよ。戦いから離れて、第三者の報告をファイルして、不明なデータを分析していればいいんだからな。 外に広がる痛みと苦しみの世界なんてとても耐えられたもんじゃない。どうしてこんな事になったのかすら分からないんだ」


オービタル・トーラス・ステート(※2):オルティヘックス(ALTIHEX)。

オーバーホール(OVERHAUL)「ぐはぁっ!」
アイアンハイド(IRONHIDE)「オーバーホールがやられた!このままでは身動きが取れず全滅だぞ、グリムロック」
グリムロック(GRIMLOCK)「ここ、守る。奴等の火力、引き付けておけ。チャー、あとどのくらいだ?」
チャー(KUP)「待ってくれ、(通信機に向かって)何だって?何処でだ?……ええい!(グリムロックに)最後の飛空挺の搬送準備がほぼととのった。避難状況は殆ど出発できるという所だ」
グリムロック「ほぼ?殆ど?」
チャー「ああ、封鎖を受けている。20かそこらの、おめでたい非同盟の連中がな」

(「中立」と書かれた建物から外に)
「抵抗反対!」
「同盟反対!」
「一つの惑星、一つの民族!」
「セイバートロン人の団結を!」
(その上空を飛ぶ2機のジェットロン)
スカイワープ(SKYWARP)「なあサンダークラッカーよ、この楽勝さは犯罪的だぜ、本当にこいつらを利用するべきなのかって思っちまうわな」
サンダークラッカー(THUNDERCRACKER)「それで?」
スカイワープ「ああ、利用してやるさ」
(飛空挺前)
バンブル(BUMBLEBEE)「(通信機に)敵を発見!グリムロック、攻撃方向に2体の航空兵だ」
グリムロック「空か、陸か…、何か、援護、あれば!」
チャー「全員、正面にかかりきりだ。それに…もう手遅れだ!」

サンダークラッカー?
サンダークラッカー「後は任せたぜ、スカイワープ」(※3)
スカイワープ「ありがとうよ…残りは俺に任しときな!」

バンブル「くそぉ!」
トレイルブレイカー(TRAILBREAKER)「来るんだ、バンブル!偵察からの報告では別の攻撃部隊もこっちに向かって来ている。俺達に出来る事はもう何も無い。オルティヘックスは消えたんだ!」

チャー「グリムロック、行くぞ!」
グリムロック「いつも、いつもだ。撤退、退却…。そのうち、逃げ場所も、無くなる。デストロンと、戦うには、作戦、戦略、欲しい。考える時代、とっくに終わった。今必要、軍、率いる、リーダー…拳で、戦える、コンボイ!」
(サイバトロン部隊、ビークルモードで退却)


オプトロミクス「えっ…。僕がですか?」

アイアコーン。長老の間。
宇宙を一つに・・・

オプトロミクス「僕にこの内戦の中で指揮を執れと?待って下さい、グラビタス様、それは何かの間違いでしょう」
グラビタス(GRAVITAS)「間違いはあり得ない。君が次のコンボイだ。ソースがそう言ったのだ」
オプトロミクス「それはマトリクスの事でしょう。貴方がたの信心は貴いものだと思いますが、ここにある意識あるライフフォースが永遠の存在であるとは、まだ証明されていないんですよ。現在の危機的状況では、その、伝統を放棄する事もやむを得ないのでは」
グラビタス「君は記録員だったな? ならば、我々全てが、過去、現在、そして未来の、広がり続ける巨大な図形の中で、只の一角度に過ぎない事も理解している筈だ。我々には全体の模様を見ることは出来ぬ、しかしその構造は、我々自身を、我々自身の行動を通じて、自ずと明らかになってくる。この世界、セイバートロンも、それ自身、別の、より複雑な図案の一部に過ぎぬ。データバンクには載っていない力によって、天において描かれたものだ。この戦いは始まりに過ぎぬ。我々が種族として向き合わねばならない多くの試練の最初の一つだ。君は今まで己の内側だけを向いて生きてきた。だが、君には遥かに広大な運命が待ち受けておる…」
(オプトロミクス、長老の間の中央にあるマトリクスを模したパワーソースの中に入っていく)
グラビタス「…ただ、目を開きさえすれば良いのだ…」


廃墟。
プロール(PROWL)「プラクサス…私の故郷だった場所だ。ヘリックス公園では何千もの青い共鳴クリスタルがメタンの中に吊り下げられていて、まさに光と美の世界だった。何故…この場所で…彼は会おうというのだ?」
マイスター(JAZZ)「さあな、プロール。だだ、グリムロックは…(グリムロック一行が現れる)…自分の考えを通すのに戦車のような無軌道のやり方をよくするからな」
グリムロック「来ていたか。話し合う事、山ほどある。この場所、その象徴…旧いやり方、今、もう無い。瞑想、神秘主義、時代、終わった。俺達、そんな時間、無い」
(グリムロック、銃を構える)
マイスター「おい!何を…」
(グリムロックの放ったミサイルはマイスターをかすめて瓦礫の一つに噛み付く)
グリムロック「もし、議会、間違った奴、選んだなら、もし、新しいコンボイ、ためらう事、あったなら、俺達、奴、引きずり下ろす…力づくで!」


アイアコーン、星の回廊。
神託の水槽。
オプトロミクス
オプトロミクス「守り人よ、進むべき方向を捜している。僕にはどうしても、何故この星のために戦い、死んでいかなければならないのか分からないんだ。所詮は一つの星に過ぎないじゃないか。美しく、不思議で、驚くべき素晴らしい星ではあるけれども、僕は星の所有物じゃない。調べてみたけれど、この星は何かに取り囲まれている訳でもない。僕がそう感じるのなら、何故みんなもそう思えない?デストロンがそれほどまでにセイバートロン星を欲しいというのならば……、くれてやればいいじゃないか?」


アイアコーン、長老の間。

グラビタス「今日、皆に集まってもらったのは、この、希望の灯火が渡される、最も神聖な儀式に立ち会ってもらうためだ。新たなるコンボイに誉れあれ。運命の輪は回り、永遠(とわ)の巡りは続けられる。この器に創造主の理想を満たし、秘められし深淵を解き明かせ。この闇において、それはかつて無いほど求められよう。我等には強き指導者が必要なり、我等を光へと導きたまえ。真のコンボイのみがマトリクスの炎をその身に宿す。これより先あるのはみしるしなり、真実なり、智慧なり。これはオプティマスコンボイ(※4)なり!」
(マトリクスをパワーソースの中から取り出し、胸に収めるオプトロミクス。一方、廊下ではデストロンの暗殺部隊が密かに侵入、武器を構えていた)

マイスター「彼の体…大きくなったように見えないか?」
グリムロック「ふん、大きさなど…」
暗殺者たち
デストロン兵士?「デストロン軍団参上!」
(デストロン兵士(紫)によってサイバトロンの一人が胴を真っ二つに切り裂かれる)
スキッズ(SKIDS)「落ち着きなって、俺が…」
(続く一閃でスキッズの腕が切り落とされる)
グラビタス「コンボイを守るのだ!」
グリムロック「ふん、俺達、やる、任せておけ。……くっ、速い…」
バンブル「うわぁっ!」
(デストロン兵士(灰)グリムロックに斬りかかる一方で、バンブルを蹴り飛ばす)
デストロン兵士(紫)「ダークライト、俺を使え!」
(兵士(紫)、銃にトランスフォーム。ダークライトと呼ばれた兵士がそれを構える)
コンボイ(OPTIMUS PRIME)「用があるのはこの私か…」
ダークライト(DARKLIGHT)「そうだ、貴様の首に用がある。メガトロン様がお命じだ」
(コンボイ、ダークライトの腕を捕まえ、銃に変形した兵士がその手から離れる)
チャー「そういう事か、殺し屋が、だったら…」
ハウンド(HOUND)「…まっすぐ墓場に叩き込んでやるぜ」
(兵士(灰)、チャーとハウンドの攻撃で爆発)
マイスター「司令官!」
グリムロック「待て。新しいリーダー、どんなものか、見極めるチャンス」
(コンボイに襲いかかる二人の兵士、最初に来たダークライトが地面に叩き付けられる)
ダークライト「ぐっ」
デストロン兵士(紫)「死ねぇ!」
(身をかわすコンボイ、兵士(紫)の刃は仲間に突き刺さる)
デストロン兵士(紫)「っ!ダークライ…ちきしょぉぉぉっ!」
(さらに彼をも投げ飛ばすコンボイ)
コンボイ「答えてもらおう、答えるんだ!」
デストロン兵士(紫)「へっ、いいぜ、よく聞きな、コンボイ…。破滅の種はとうに蒔かれているんだ、貴様のずうっと足元にな。お前達は全滅さ。それに、俺は…、…捨て駒に過ぎねぇ」
(奥歯で何かを噛む兵士、途端に頭部が融けだし、絶命する)

バンブル「すごいや!」
トラックス(TRACKS)「どうなる事かと思いましたが…」
マイスター「流石ですね!」
コンボイ「待ってくれ。君達の信任は有り難いと思う。だが…、だが…、…私には自分でも信じられない大義のために、これ以上皆に戦えと命じる事は出来ない。代償はあまりにも大き過ぎる。今、我々がすべき事は考え難きを考え、避け難きを受け入れる事だと私は思う。セイバートロン星はもはや失われた。全員、自分の部署に戻り……、惑星全土の避難準備をして欲しい」
(コンボイの突然の決定に驚くサイバトロン戦士達)


セイバートロン星内部。

メガトロン(MEGATRON)「さあ‘オプティマス’コンボイよ…、…余の前に来るが良い!」

(続く)


※1…ブリーム(BREEM):セイバートロン星の時間単位。1ブリームはおよそ8.3分。但し、これはマーベルコミック版の設定で、このコミックそのものには注釈は無い。

※2…オービタル・トーラス・ステート(ORBITAL TORUS STATE):直訳するなら、軌道円環国家。内戦の始まる前のセイバートロン星は、大小の都市国家がら成っていたと思われるが、これがどういう分類の国であるのかは不明。他に、デストロンが基地を置いているケイオン(KAON)もこの一種とされている。

※3…絵はどう見てもスカイワープですが、サンダークラッカーの台詞のようです。まあいつもの事ですね(笑)。

※4…世界観に整合性を持たせるために、彼の名前を少し変えました。「コンボイ」と言えば彼を指すようになるのはいつの日でしょう・・・?


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